初めて熱中症になる。


Aug 1, 2015
写真
↑筑波山。

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2015年8月1日の土曜日に筑波山に登った。当初の予定では翌日2日の日曜早朝から登るつもりであったが、 行く予定の1つであったひたちなか公園が夏フェスの為その日は施設の一部しか利用できないことが判明し、午後の予定がポッカリ空いてしまったので急きょ予定を繰り上げたのだ。

筑波山登山口に到着したのは午後15:45分頃。4つある市営の駐車場のうち遠い方の駐車場に停めてしまったが、神社に向かって歩いていく。

筑波山神社前の売店を通り過ぎた時、奇妙なカタチをしたガマガエルの置物が目に入った。 自分は普段こういうものを買わないし、ましてや登山前にわざわざ荷物を増やすようなものを買ったことは 一度もない。でもなんか愛嬌のある可愛らしい形をしているので欲しくなった。時間も時間なんで山から降りてきた時にはお店は既に閉まっているだろう。 なので買ってリュックサックの中に入れて一緒に登ることにした。

筑波山神社でお参りをして16:00時過ぎ、筑波山神社横から登頂開始する。途中の看板には登頂まで1時間30分と書かれており、登頂まで4~5時間かかる山をいくつか登ったことのある自分は正直こう思った。

「じゃー早いペースで登れば1時間ぐらいか?。楽勝だな。」

そして歩き始めた・・。

筑波山は低山なので林の中の登山道を進むことになる。ここ数日雨は降っていないはずなのに地面は湿気を帯びており、空気は蒸し蒸しするカンジだ。

陽があるうちにサクッと登ってサクッと降りたかったので早いペースで登った。これは自分のいつもの登り方だ。 「早いペースで登って少し休憩」を3回繰り返して、お茶とか飲む大きな休憩を取るというのが大体のパターンだ。

でもこの日は違った。一回目の「早いペースで登って少し休憩」の段階ですごく疲れている。 「なんだこの疲労感は? やっぱり夏の登山はキツイな~、熱いな~」 と思った。

お茶を飲み、少しだけ長めに休憩を取り、二回目の「早いペースで登って少し休憩」をする。

なんか疲労感が半端ない。最近運動してなかったからか?。流れ出る汗の量も半端ない。お茶を飲みながら

「でもたった1時間の辛抱だ。頑張ろう」と思った。

そして三回目の「早いペースで登って少し休憩」の後、登り始めようとしたら・・

その時が来た。

「ギャ~痛て~」

そうです!フクラハギがツリました。筋肉の筋が切れたんじゃないかと思うほどの痛みです。痛みの為、中腰のままピクリとも動かせない。すぐ横の杭に左肘を乗せ体を支える。

5~10分はその態勢でいただろうか。だんだん中腰の状態でいるのがツラくなってきた。でも動かせない。 足の痛みと中腰の疲れでとってもツライ。

まず今しなければいけない最重要課題は、腰を岩の上に如何にして乗せるかだ。少し痛みが和らいできたので、恐る恐る足を動かしてみる。

すると即座にピキーン!という痛みが走り、

「アガガガっ!」

という声にならない叫び声が出る。悶絶とは多分こういう事をいうのだろう。

ようやく腰を落ち着け足の痛みが引くのを待つこと10分くらい。ふと左手を見ると泥でべっとりと汚れている。腰を岩の上に乗せる際に体を支える為に岩に手をついたのであろう。

「あ~多分ズボンのお尻部分にも泥が着いているんだろうな」

とこういう状態にも関わらずそんな事を考えた。

足の痛みが引いたので岩から腰をあげようとした。その時

ピキーン!

太ももがつりました。場所は違えどフクラハギの時と同じ痛みです。また中腰の状態で停止する。それも両足を伸ばして岩から少しだけ腰を上げた状態で左手だけで体を支えている状態だ。

やばい!この状態は長く保てない!っと即座に思い、苦戦しながらもまた再度腰を岩の上に乗せる。

同じように10分ほど休憩して再度トライすると今度はなんとか立てた。立った状態で軽くストレッチングして少し、筋がこわばっているような痛みはあるもののなんとか大丈夫そうみたいなので

まあ様子見ながらゆっくり登っていくかっと思い足を岩の上に乗せて登ろうとした瞬間

ピキーン!

腰がつりました。太ももの上でお尻の横の部分です。

「えっ!?こんなとこツルの?もしかして全身ヤバい?。」

この時になってコレは今まで経験したことのあるツル現象よりヤバいモノだとわかった。

まずはもう一度休憩しようと岩に腰を下ろして20分くらいじっと経過をみる。その間に外国人男性二人組が談笑しながら登ってきたが、自分の存在に気が付くとその談笑はピタリと止んで、そぉ~と静かに傍らを通り過ぎていった。自分は座ってただ休憩しているように振る舞っているつもりだったが、なにか異常な雰囲気を感じたのかもしれない。

その間に下山者は男性1人が合計3名程降りていった。

座りながら足をいろいろ動かしてみても大丈夫。さてじゃー行きますか?っと腰を上げると

ピキーン!

いい加減しつこい!

岩の上で左手で体を支えながら悶絶していると下から「大丈夫ですか?」っと声をかけられた。先程降りて行った男性のうちの一人だ。

男性は山岳ガイドの方で、そばに来て痛い場所とかを聞かれたので症状を話すと「熱中症ですね」っと即座に言われた。

なるほど、あのすぐ疲れてしまう身体の状態と異常な汗は「熱中症」だったからなのだとこのときやっと理解できた。

ガイドの方は自分の足をマッサージしてくれながら「この状態では下山した方がいいですよ」と言った。

自分的には頂上まで1.5kmだし、ダマしダマし登ろうかと思っていた。頂上まで行けばケーブルカーで降りれるし。

でもガイドさんにそう言われるとそうするのがベストな選択だと思い、そうすることにした。

ガイドさんは一緒に降りてくれると何度も言ってくれたが、自分で降りれそうだと思ったので、「もう少し休めば自分で降りれます」と伝え、先に降りてもらった。

その後20分程入念にストレッチして大丈夫そうなことを確認しながら降りた。自分も今までの経験から足になるべく負担をかけないような降り方は心得ているつもりなので ストックを使いながら慎重に降りてきた。途中足がツリそうになる場面は数回あったがなんとか無事下山できた。

下山して気付いたがケーブルカーは既に稼働していなかった。時計を見たらいつの間にかもう19:00時を過ぎていた。 その後、筑波山神社境内で神様に無事下山できたことに感謝の意を伝えて駐車場に戻った。

今にして思えばあの時、山岳ガイドの方が現れて、「熱中症」という症状を教えてくれたり、下山をアドバイスしてくれなかったらもっとヤバい状況になっていたことだけは間違いない。ガイドさんあの時は本当にありがとうございました。m(_ _)m。

少しオカルト的な話になるのだが、あの時、運よくガイドさんが現れたのは登山前に買ったあの奇妙なガマガエルが呼んでくれたのかな?と思っている。このガマガエルの置物は自分の大事な宝物になりました。このガマガエルのガマ吉(仮名)を見るたびに熱中症で倒れたこの日のことを思い出し自分の山への安全意識を高めてくれることでしょう

今回の反省点:

今回疲れていることを自覚しながらもっと早くに対策を立てられなかったのは、熱中症になったことがないので疲れる・汗の量が異常という症状から判断できなかったこと。また、いくら暑かったといってもまさか登山開始から早々に熱中症になるわけないという思い込みの2つが大きな要因だと思う。

また1時間も経たないうちに熱中症になったことについては、今にして思えば思い当たるフシがある。当日は外で立っているだけで汗をかく暑さだったが、朝から観光スポットを回っており、登山を開始する前から既に熱中症気味だったんだと思う。

大部分の時間はエアコンをつけた車での移動だったが、ガラス越しの日射でも結構体の芯が熱くなっていたんだと思われる。そこをまた暑い森林登山道をハイペースで登ったもんだから熱中症の症状がイキナリ出たんだと思う。

今回の件からの教訓としては①登山は涼しい早朝から開始する、 ②体に異常を感じたら「っんなわけない」と思っても潔く下山する の2点。あと今回の件をプラス思考的に考えるなら「低い低山で良かった」ということ。

熱中症に対しては体がダルくなる、 目まいや吐き気の症状が出るという認識で(自分はこれらの症状はまったくなかった)、足全体がツルっていう症状は知らなかった。高所で足が長時間ツルっていうのはかなり致命的だと思う。特に時間帯が遅い場合は回復を待っている間に夜になってしまうし。

駐車場に戻ってからは安全の為に身体を回復させようと5時間ほど車内で眠ってから家に帰った。帰路の途中、あくびをしたら顎がツリそうになった。熱中症恐るべしだ。


写真↑駐車場への帰り道に見かけた筑波馬子唄(つくばまごうた)の石碑。一歩間違えば自分もこうなっていたのですごく共感できるわ~。